『あ、ほんとだ。まるで、灯がついたようだ。
だども、あれは、 とちの木の後ろにちょうど月が出てきて、
えだの間に星が光ってるんだ。
そこに雪がふってるから、明かりがついたように見えるんだべ。」
と言って、小屋の中へ入ってしまった。
だから、豆太はその後は知らない。
医者様のてつだいをして、カマドにマキをくべたり、
湯をわかしたりなんだり、 忙しかったからな。

16
でも、次の朝、はらいたがなおって元気になったじさまは、
医者様の帰った後で、こう言った。
『 おまえは、山の神様の祭りを見たんだ。モチモチの木には、灯がついたんだ。
おまえは、一人で、夜道を医者様よびに行けるほど、
勇気のある子どもだったんだからな。
自分で自分を弱虫だなんて思うな。
人間、やさしささえあれば、 やらなきゃならねえことはきっとやるもんだ
それを見て、他人がびっくらするわけよ。は、は、は。 』