『ミケの脱走』

小学3年生の夏休み、飼いネコのミケを連れて、妹とおじいちゃん

おばあちゃんの家に泊まりに行きました。  

「ここは山の中だから逃(に)げたらもどってこられないよ」。

おばあちゃんの言葉に 「ミケは逃げないよ」と自信満々の私と妹。

ところが次の日、ミケがあみ戸を開けて脱走していたのです。  

私たちは、おばあちゃんといっしょに山を登って何時間も さがし歩きました。

気がつくと辺りは真っ暗。 何度も名前をよびながら山をおりました。  

ミケに会いたくて、くやしくて泣きながら家に着くと、

縁側にミケがすわっていました。

まるで「おかえり」と言っているような顔で。  

(創作はり絵作家 渡辺順子 絵・題字も)